音の余韻を楽しむ水琴窟とは?ししおどしとは違う?

みなさんは、水琴窟をご存知ですか?
水琴窟というのは、江戸時代に花開いた日本文化の1つです。
今回は、環境スペースが水琴窟とししおどしについて解説していきます。


■水琴窟とは?

水琴窟は、江戸時代の庭師が考案したとされています。
日本庭園における最高技法とも称された“つくばい”の鉢前に造られるものです。
洞水門と呼ばれる場合もあります。

そんな水琴窟は、日本庭園の基調を全て表現しているのです。
日本庭園の基調は、“見えがくれ”、“わび・さび・渋さ”、“省略とゆとり”、“余剰と余韻”の4つです。
“見えがくれ”は水琴窟が土の中に隠されていること、“わび・さび・渋さ”はつぐばいの石組みや形状には派手さがなくて小さな音色がゆとりと遊び心を表していると言います。
そして、“省略とゆとり”は水琴窟の音は心で聴くこと、“余剰と余韻”は水滴と水滴の間の余韻を楽しむことを意味しているのです。


■ししおどしとの違い

水琴窟と同じく、日本庭園で見かけるものがあります。
それがししおどしです。
ししおどしは、水が少しずつ流れる音が静けさを際立たせ、たまになるコーンという音が静かな空間に心地良く響き渡ります。

ししおどしというのは、先を斜めにそぎ落とした竹筒に水を入れ、水が溜まった重みで竹筒が動くという仕組みになっています。
そしてその動いた竹筒が下に置いてある石に当たり、音が鳴るという仕組みになっているのです。
もともとは、田畑を荒らしてしまう動物を追い払うために考案されましたが、農村で普及していくにつれて庭にも用いられるようになりました。
京都の詩仙堂にあるししおどしはかなり有名なので、京都旅行をした時などに目にしたことがあるという人もきっといることでしょう。

このことから、水琴窟とししおどしは形は違いますが、庭師の遊び心が詰まったものだと言えるでしょう。
もともと違う目的で作られたものだったとしても、今では日本庭園の魅力を高める要素になっています。
日本庭園に足を運んだら、ししおどしや水琴窟があるか見てみるのも良いでしょう。
その音に耳を澄ませる時間は、心身ともにリラックスできるはずです。

 


水琴窟とししおどしは、日本庭園で見かけるので、実際にその音を楽しんだことがあるという人もいるでしょう。
もしも、まだ聞いたことがないという人は足を運んだ際に、その音に意識を向けてみてください。
庭園を眺めながらその音に耳を傾けると、日本庭園ならではの風情や魅力をより感じられはずです。