聴力の老化はいつから始まる?モスキート音の仕組みを解説

若い人にだけ聞こえるといわれるモスキート音、どんな音か聴いてみたことはありますか?
一般的にモスキート音が聞き取れるのは20代半ばまでとされています。
年齢によって聞き取れる音に違いが出るのはなぜなのか、環境スペースが解説しましょう。


■聴力の老化は30代から始まる

初対面で相手の年齢を推測する時に参考になるのが肌や髪の状態でしょう。
肌のシミやシワ、髪のボリュームや艶やかさなどはどうしても年齢が出る部分です。
そういった見た目とは違い、衰えがわかりにくいのが聴力の老化です。
実は聴力の老化は30代から始まっているものの、周囲はおろか自身が気付いていないことが多いと言われています。
若い人にだけ聞こえる音として有名なのがモスキート音です。
モスキート音は17,000Hz前後の超高音で、20代半ばまでの若い人にしか聞こえないため、聴力の老化を確かめるのに有効とされています。
動画サイトやアプリなどで簡単に聞けるので試してみるといいでしょう。


■音の聞こえは「有毛細胞」にかかっている?

若い人にしか聞こえないとされるモスキート音ですが、まれに30代以降でも聞き取れる人がいるそうです。
これは耳の中にある音を感知する器官に関係しています。
耳の奥にある蝸牛(かぎゅう)は、リンパ液に満たされた器官です。
音の伝達により満たされたリンパ液が振動することで神経を刺激し、音が脳に伝わります。
この時に大きな役割を果たすのが蝸牛の中にある有毛細胞です。
「内有毛細胞」と「外有毛細胞」の二つの細胞からなる有毛細胞は、蝸牛の入り口から奥へと並んでいます。
そのため、音に最初に接する入り口側の細胞はどうしても負荷がかかりやすく、多くの音に接するうちに死滅してしまいます。
有毛細胞は再生することがなく、また、新たに作られることもない細胞なので、死滅してしまうと数は減るばかりです。


■ダメージを受けると聴力は元に戻らない

有毛細胞には、高音と低音を感知するものに分かれており、特に負担が大きいのが高音を聞き取る細胞です。
そのため、年齢を重ねるごとに高音が聞き取りづらくなる、というのが「若い人にしか聞こえない」というモスキート音の正体でした。
前述の通り、有毛細胞は一度死滅してしまうと再生しません。
音を聞き取る有毛細胞自体の数が減ってしまっているため、いくら大音量でモスキート音を流したとしても聞こえることはないでしょう。
そのため、一度衰えてしまった聴力は元には戻らないと言われています。


聴力の老化を確認できるモスキート音ですが、日常生活で耳にすることはあまりないです。
しかし、動画サイトやアプリで簡単に聴けるので、最近音が聞き取りづらくなったと感じたらチェックしてみるといいでしょう。