ワンフレーズで伝わる!オノマトペの不思議

「○○さんのことを思うと胸がドキドキする」
これだけの文章で、発言者が○○さんに対して好意を持っていることがわかります。
それは「ドキドキ」という単語が使われているからですが、これらの言葉はオノマトペといいます。
他にどんな言葉があるのか、環境スペースが解説しましょう。


オノマトペはどんな時に使う?

周りの様子や、今の自分の状況などを端的でありながら正確に相手に伝えられる言葉を「オノマトペ」といい、擬音語と擬態語という2つの種類があります。

・擬音語のオノマトペ
擬音語のオノマトペには、動物や自然現象などを表すものがあります。

◎動物の鳴き声:わんわん、にゃーにゃー
◎雨が降る様子:ざーざー、しとしと
◎雷が鳴る様子:ごろごろ
◎電車が走る様子:ガタンゴトン
◎車が走る様子:ブーン、キキーッ

・擬態語のオノマトペ
擬態語のオノマトペには人の感情や行動など、実際には音が出ていないものを表します。

◎人が行動する様子:だらだら、ぐずぐず
◎人が感情を表す様子:そわそわ、くよくよ
◎人が食べる様子:がつがつ、むしゃむしゃ
◎人の風貌:ぼさぼさ、よれよれ、ぽっちゃり

擬音語、擬態語のどちらのオノマトペも日常的によく使われるものばかりです。
たとえば擬態語の「だらだら」を別の言葉で表現しようとすると「その場にはいるものの、何かをするわけでもなく、無為に過ごしている」といった説明が必要になります。
また、「だらだら過ごす」「だらだら喋る」など、語尾に詳しい様子が加わることでさらに的確な説明ができるのもオノマトペの特徴でしょう。


■日本のオノマトペは種類が豊富

ワンフレーズだけで実際の様子を的確に伝えられるオノマトペは、英語など、他の言語にも存在します。
ところが、日本語のオノマトペはとても数が多く、かつ独創的なため、日本語を習得しようとする外国人にはとても難しいといわれています。

・どんぶらこ
「どんぶらこ」と聞くと日本人は「桃が川を流れてくる音」だとすぐにわかります。
みかんでもりんごでもなく桃です。
そしておばあさんが包丁で割ると、中には男の赤ちゃんがいて、桃太郎と名付けられることまで知っています。
この「どんぶらこ」は、日本人のほぼ誰もが知っているにもかかわらず、日常で使われることのない、特殊なオノマトペと言えます。

・かぽーん
こちらも使う場面が限定されているオノマトペの一つです。
「かぽーん」と聞いたらほとんどの人が温泉やお風呂を思い浮かべるでしょう。
お湯に浸かる場所でありながら水音ではなく、桶がぶつかる際の擬音語です。
それもヒノキなどの木製のもので、一般家庭にある現代的なお風呂やホテルのバスルームよりも、老舗旅館などの大浴場や露天風呂などを想像させます。


他の言語に比べると習得が難しいといわれる日本語ですが、その理由の一つにオノマトペが挙げられます。
独自の感性で作られた日本のオノマトペは、多くの外国人から興味を持たれているそうですよ。