聞けるのは春だけ?ホーホケキョの不思議

春の風物詩といえばお花見や春一番などですが、ウグイスが「ホーホケキョ」と鳴くようになると春を実感するという人も多いようです。
しかしこの鳴き声、春限定のものだとご存じでしたか?
今回は、春を告げるウグイスの鳴き声について環境スペースが解説しましょう。


■「ホーホケキョ」は春にしか聞けない?

ウグイスといえば「ホーホケキョ」の鳴き声で春を教えてくれる鳥です。
そのため、春告鳥(はるつげどり)とも呼ばれ、昔から日本人に親しまれてきました。
日本は縦に長く伸びる地形をしているため、地域によって分布が異なる動植物が多いですが、ウグイスは北海道から九州まで生息しているので、日本各地で人々に春を教えてくれます。
しかしこの「ホーホケキョ」、実は春限定の鳴き声だってご存じでしたか?
ウグイスは本来、控えめに「チャッチャッ」と鳴くくらいで、あんな大音量で鳴いたりしないそうです。
では何のために「ホーホケキョ」と鳴くのでしょうか。
それはメスへのアピールです。
春になり繁殖期を迎えたウグイスのオスは、メスを誘うために大きく鳴きます。
期間限定の鳴き声なので、感覚をつかむまで練習が必要というわけです。
春先、「キョケ」「ホケキョ」など、ウグイスが練習している声を聞いたことがある人も多いでしょう。
不思議なことに、季節が過ぎるとノドのつくりが変わり普段の「チャッチャッ」に戻ってしまいます。


■ウグイス色ってどんな色?

和菓子などにある「ウグイス餡」は明るめの黄緑色をしています。
「梅にウグイス」と言われるように、花札にも描かれているウグイスの姿は鮮やかな黄緑色です。
そのため、ウグイス色と聞くと鮮やかな色を想像しがちですが、実際は茶色に近い落ち着いた色をしています。
この色に対する勘違いから、多くの人がメジロをウグイスだと思い込んでしまっています。
メジロは体全体が鮮やかな黄緑色で、目の周りが白いことから「目白(めじろ)」との名が付いている鳥です。
もちろんウグイスとは何の関係もなく、「チーヨ」と鳴きます。
かわいらしい鳴き声ですが、見た目だけでウグイスと間違われてしまって少し気の毒でもありますね。
実際のウグイスは灰色がかった茶色に少し緑が混ざったようなシックないで立ちで、木の枝と同化してしまうほど地味です。
鳴き声がしても姿を見つけるのが大変なのが、ウグイスという鳥なのです。


梅の花が咲き始めるとどこからともなく聞こえてくる「ホーホケキョ」、今年はその姿を正しく想像してあげてくださいね。