別のストーリーもあった?童話「ブレーメンの音楽隊」をさらに掘り下げ

行く当てのないロバがブレーメンを目指すところから始まるのが、童話「ブレーメンの音楽隊」です。
ブレーメンとはドイツに実在する都市ですが、ロバはなぜ目指そうと思ったのでしょうか?
今回は童話「ブレーメンの音楽隊」の舞台や、別のストーリーなどについて環境スペースが解説します。


■童話の舞台となったブレーメンとはどんなところ?

童話には実在する地域や地名が登場するものが多くあります。
そのなかの一つ「ブレーメンの音楽隊」は、日本でも親しまれている有名な話ですね。
ではブレーメンとはどんなところなのでしょうか?

・交易都市として栄えた都市
ブレーメンは北ドイツに位置する都市で、ハンザ同盟に加盟したことで交易都市として栄えました。
ハンザ同盟とは北ドイツ、ポーランド、バルト諸国、ロシアなど、北海・バルト海沿岸の都市が結成した都市同盟で、12~17世紀までの長い間、遠隔地貿易で栄華を誇りました。
童話「ブレーメンの音楽隊」では、多くの人とモノが行き交う自由で豊かな憧れの地として描かれています。

・市庁舎前のブロンズ像をさわると幸運が訪れる?
ブレーメンはメルヘン街道の北の終点となっており、毎年多くの観光客が訪れています。
シンボルとして市庁舎前に設置されている「ブレーメンの音楽隊」のブロンズ像は、ロバの前足にさわると幸運が訪れるとされ、とても人気です。
川沿いの港町が交易都市として栄えた名残が今も各地に見受けられ、観光客の目を楽しませています。

 

 


■ストーリーは一つじゃない?

童話「ブレーメンの音楽隊」では強盗の家に押し入り、そのまま4人で仲良く暮らすという終わり方をしています。
相手は強盗とはいえ、住人を追い出して家を乗っ取るなど、穏やかではありません。
実は、別の終わり方をしているバージョンも存在したようです。
その内容とは、

◎強盗の家に普通に訪問する
◎強盗相手に4人で音楽を演奏し歓迎される
◎強盗と一緒に仲良くごちそうを食べる

というものです。
とても穏やかで平和的なストーリーですね。


■そもそもグリム童話とは?

童話「ブレーメンの音楽隊」のストーリーが複数あるのはなぜなのでしょうか?
それはグリム童話の成り立ちに原因があります。
グリム童話とは、ドイツ出身のヤーコプ・ヴェルヘルムというグリム兄弟が編纂した童話集です。
自国の文化を後世に残したいと、各地に古くから伝わる口伝えの物語「メルヘン」を集め一つにまとめました。
口伝えなので、地域によって登場人物が違ったりストーリーが微妙に違ったりといったことが起きてしまったと考えられています。
もしかすると、他にも別バージョンを持つ童話もあるかもしれませんね。


童話には実在する地域が舞台になっているものも多く、その背景を知ることで意外な事実が判明することもあります。
ブレーメンを訪れた際はぜひ、市庁舎前のブロンズ像をお忘れなく。