なんて聞こえる?野鳥の鳴き声の「聞きなし」

森や住宅地にも棲んでいる野鳥には、多種多様な鳴き声があります。
日本では昔から、鳥の鳴き声を言葉に当てはめて遊ぶ「聞きなし」という風習があったとか。
例えばウグイスの「ホーホケキョウ(法華経)」が有名ですね。
聞く人によって鳴き声の感じ方は違いますが、「そう言ってるように聞こえるね!」と共感し合うのも楽しいと思います。
今回は環境スペースが、日本に古くからある「聞きなし」についてご紹介しましょう。


■ももたろうのキジはなんて鳴く?

聞きなしのなかには、古くから文学に使われてきたものもあります。
童話ももたろうに出てくるキジは、「ケンケン」という鳴き声で表現されていました。
実はこれはオスのキジで、メスの場合は「コーコー」と表現されるそうです。
ヒバリの「ピーチク・パーチク」や、トンビの「ピーヒョロロロー」もよく童話や童謡で使われる表現ですね。
昔から当たり前のように使われている言葉なので、実際に聞いてもそうとしか聞こえないかもしれません。


■遊び歌のような鳴き声も

ちょっと面白い聞きなしがあったので、環境スペースが解説しましょう。
ホオアカというスズメに似た鳥の鳴き声は、「へっぴり、じっちゃお茶あがれ」と表現されます。
まるで農作業をしているおじいさんに、そろそろお茶でもどうかと話しかけているみたいで可愛いですね。
サンコウチョウという尾の長い鳥は、「月日星(ツキヒホシ)、ホイホイホイ」という鳴き声の聞きなしから名前がつきました。
月・日・星の「3つの光」という意味が、サンコウチョウの名前の由来です。
サンショウクイも、鳴き声の聞きなし「ヒリリン、ヒリリン」から名付けられました。
なぜ「サンショウ(山椒)クイ」になったかと言うと、体が小さくても才能があって優れている意味の「山椒は小粒でもぴりりと辛い」ということわざが元になっています。
山椒を食べたから「ヒリリン、ヒリリン」と泣いていると表現されますが、実際のサンショウクイは虫を食べるそうですよ。


■鳴き声がそのまま名前になっている鳥も

聞きなしが先か、それとも名前が先かは分かりませんが、鳥の名前と鳴き声の表現が全く一緒のものもあります。
カッコウは「カッコー」、ジュウイチは「ジュウイチ」、なんとルリビタキは「ルリビタキだよー」と自ら名乗るような鳴き声だとか。
実際に聞いてみた人は「キョロキョロキョロリ」と表現することもあるようですが、確かに「ルリビタキダヨ~」と話しているように聞こえるかもしれません。


面白い聞きなしはまだまだたくさんあります。
新しい鳴き声の表現を考えてみるのも楽しいですね。
森へ行って野鳥を見つけたら、鳴き声に耳をすませてみましょう。