不思議なガスで声が高くなる!?気体の重さと音の秘密

「ヘリウム」という気体を吸ってから話すと、高い声が出ます。
最近はあまり見かけませんが、昔は縁日などでヘリウムガスを売っているお店もよくありましたね。
若い人や子どもは、テレビ番組などで見たことがあるかもしれません。
面白い現象ですが、一体どんな理屈で声が変わっているのでしょうか。
今回は、環境スペースがヘリウムと音の関係について調べてみました。

 

■人の声はどうやって出ている?

人の声は、喉の奥にある膜「声帯」が振動することによって発生する音です。
肺から出た空気が声帯を振動させると波が発生し、それが空気中を伝わって誰かの耳に届き、人の声として認識されます。
声帯から口までの間には「声道」という空間があり、その大きさや形によって音の響き方が異なります。
だから人によって声の高さ、声の質(こもった声やはっきり聞こえる声など)が違うのですね。
同じ人が高い声と低い声を使い分ける場合、高い声を出す時は声帯・声道で振動する回数が多くなり、低い声を出す時は振動の回数が少なくなります。

 

■ヘリウムガスで声が変わる理由

ヘリウムは気体のなかで2番目に軽い物質です。
空気よりも軽い気体の中を音が進む場合、そのスピードは空気中の時と比べて速くなります。
空気中を音が進む速さは秒速340mであるのに対し、ヘリウム中では秒速960mに!
つまり、約3倍も音の伝わりが早いというわけですね。
音が進むスピードが速いと声道の中の振動も多くなるため、高い声に聞こえるのです。
トランペットやリコーダーなどの管楽器の中にヘリウムガスを満たして演奏すると、やはり高い音に変わります。
面白い現象ですが、一気に吸い込むと酸欠状態になる可能性があるので十分注意してくださいね。

 

■声が低くなる気体もある

クリプトンという気体は、ヘリウムと似た性質を持ちます。
しかしクリプトンは空気よりも重いため、音が伝わる速度が遅くなります。
音が進む速度が遅いということは声道の中で発生する振動は少なくなり、声は低くなるでしょう。
もし身近にクリプトンガスがあれば、試してみてください。
ただし、ヘリウムガスと同様、大量に吸い込むと酸欠になるおそれがあります。
十分な酸素が確保できる場所で、高濃度のガスを吸い込まないよう注意しながら実験しましょう。

 

 

ヘリウムガスが空気中に浮かばせる風船にも注入されている気体ですが、風船の中のガスには酸素が含まれていません。
これを一気に吸い込むと酸欠状態になり、最悪の場合窒息して死亡するリスクもあるので絶対にやめましょう。
吸い込んでも害のない実験用・玩具として売られているヘリウムガスもあるので、遊ぶ際はそちらを使ってくださいね。