自然音・小さな生活も苦痛!「聴覚過敏」とは

街中で、大きなヘッドフォンをしている人を見たことはありますか?
音楽を聴くイヤフォンにしては大きいし、時間や場所を問わずいつでも装着している…?と、不思議に思う人もいるでしょう。
赤ちゃんや幼い子どもが装着していると、「こんなに小さいうちからヘッドフォンで音楽を流して大丈夫?」と心配になるかもしれません。
しかし、大きなヘッドフォンをしている方のなかには音楽を聴いているわけではない人もいるのです。
今回は、音の聞こえに問題のある「聴覚過敏」について環境スペースが解説しましょう。

 

■聴覚過敏とは?

視覚・聴覚・味覚・嗅覚・触覚から得た情報に対して不快感を覚える症状は、「感覚過敏」と呼ばれています。
これは医学的な診断名ではありませんが、特定の情報またはあらゆる感覚に敏感過ぎる人の症状として通称されている言葉です。
例えば聴覚に敏感なお子さんの場合、衣服が擦れる音、教科書をめくる音、椅子を数センチ引きずっただけの音など、他人の行動によって生じる小さな音が気になって教室で授業を受けることができなくなる場合もあります。
特に音に対して敏感な人を「聴覚過敏」といいますが、他の感覚にも敏感な複合タイプも少なくありません。
会話をしている相手とは別の人、自分とは関係のないグループの会話まで鮮明に聞こえてきてしまう聴覚過敏の人も多いです。
自分と会話している人の言葉が聞き取れず、全く関係のない他人の言葉に返事をしてしまい、気味悪がられたり怒られてしまったりすることも…
女性や子どもの高い声、さまざまな音量・音域の声が混ざって聞こえるのが苦手で、人が多く集まる場所に行けない人もいます。


■聴覚過敏の原因は?

聴覚過敏は自閉スペクトラム症ASD)など、発達障害に関係があると指摘されています。
ただし、特定の音を継続して聞いたり、強いストレスや頭部にダメージを受けたりしたことが聴覚過敏の原因になったケースも報告されています。
薬物療法による副作用や、顔面神経麻痺、てんかんなどの病気が隠れている可能性もあるため、症状が疑われる時は医師に相談しましょう。


■聴覚過敏の対処法は?

まずは耳鼻科で耳の検査をしてもらい、異常がないことを確認したうえで心療内科や精神科などのメンタルクリニックに相談する人が多いようです。
小さなお子さんは言葉の発達にも影響を及ぼす可能性があるため、早めに専門医へ相談するよう推奨されています。
ノイズキャンセリング機能のあるヘッドフォンは聞こえる音を最小限にできるため、聴覚過敏の人も安心して過ごすことができるでしょう。
ASDの場合、不快な音を聞いてパニックになったり、自傷行為をしたりする人もいます。
ヘッドフォンを装着するのは、聴覚過敏による二次被害を防ぐためでもあります。

 

 

「誰かと話す時はヘッドフォンを外すべき」
「食事中もヘッドフォンをするなんて行儀が悪い」
などと感じている人は、当事者が置かれている状況について想像してみてください。
聴覚過敏の方にとっては、耳を塞ぎたくなるほどの不快な音に囲まれながら生活しているのです。