ドイツに実在する都市ブレーメンは、グリム童話ゆかりの地をたどるメルヘン街道の終点にもなっています。
ブレーメンといえば「ブレーメンの音楽隊」が有名ですが、タイトルと内容が合っていないのでは?と度々言われてきました。
どこに問題があるのか、環境スペースが解説します。
■ブレーメンの音楽隊のストーリーは?
この物語の主人公は高齢のロバ、イヌ、ネコ、オンドリの4人です。
まず登場するロバはずっと人間に飼われていたのですが、年老いて役に立たなくなったことを理由に捨てられてしまいます。
家を追い出されたロバはブレーメンにある音楽隊に入れてもらおうと決意し、歩き出しました。
途中で出会った同じ境遇の高齢のイヌ、ネコ、オンドリを誘い、みんなでブレーメンを目指します。
森の中で夜を迎え、野宿をしようとしていると偶然にも泥棒の家を見つけます。
部屋では泥棒たちがごちそうを食べていました。
4人は相談し、泥棒の家を乗っ取ることに。
ロバの背中にイヌ、その上にネコ、オンドリの順で乗り、怪物になりきって一斉に鳴き始めます。
泥棒たちが驚いて逃げた後、4人はごちそうを食べ、そのまま泥棒の家で暮らすことにしました。
おしまい。
■ブレーメンの音楽隊、ここが変?
誰もが一度は読んだことのある童話ですが、疑問に思う点がいくつかあります。
・音楽隊なのに演奏はしていない?
タイトルには「音楽隊」とありますが、4人とも楽器演奏はしていません。
ロバが歩き出す動機はブレーメンの町にある音楽隊に入るためで、他の動物たちを誘う際も「一緒に音楽隊に雇ってもらおう」と言っています。
しかし、泥棒たちを追い出す時は怪物になりきって鳴いただけです。
物語の中でも楽器を弾くシーンは登場しません。
ブレーメンの音楽隊が活躍する話ではなく、「ブレーメンの音楽隊に入りたい」というロバの気持ちが物語の始まりだと解釈した方がよさそうです。
・ブレーメンには到着していない?
この物語はラストシーンも独特です。
最後4人は居心地のいい泥棒たちの家で仲良く暮らすシーンで終わっています。
そう、ブレーメンの町へは行っていません。
随分とタイトルと内容が違うという印象を受けますが、楽器演奏と同様に、ロバの気持ちから始まった物語だと考えれば納得できるかもしれませんね。
■ブレーメンの音楽隊から読み取れるものとは
なにかしらの教訓が得られるのが童話です。
「ブレーメンの音楽隊」からは、
◎何歳になってもやり直しはできる
◎自分から動き出せば解決できることもある
◎最初の目標と違っても幸せに過ごせる
といったものが挙げられるのではないでしょうか?
目標達成のためにやり遂げることも大切ですが、幸せのカタチはそれぞれだと考えられる柔軟さも学べるストーリーだといえます。
タイトルと内容が違うように思える「ブレーメンの音楽隊」ですが、大人が読んでも様々な考察が可能です。
気になった方は一度読み返してみてはいかがでしょうか?