みんなが無意識にやっている赤ちゃんへの掛け声「マザリーズ」とは?

赤ちゃんに話しかける時、ついつい赤ちゃん言葉になってしまったり、普段よりワントーン高い声色になってしまったりという経験はありませんか?
自分の子であろうとそうでなかろうと、ついつい出てしまうという人は多いでしょう。
実はこの話しかけ方には「マザリーズ」という、れっきとした名前があります。
今回はマザリーズについて、環境スペースが解説します。


■マザリーズとは?

赤ちゃんに話しかけたり、あやしたりする時に出る柔らかでワントーン高い声掛けをマザリーズといいます。
英語で母親を意味する「mother」に接尾がついており、育児学や発達心理学で使われる専門用語でした。
マザリーズは、これから言語を習得していく赤ちゃんが聞き取りやすく、理解しやすい音域やペースに合わせた発音だといわれています。
人は生き物の本能として、この発音を知っているのですね。
そのため、赤ちゃんを見かけた人は自然とマザリーズができるというわけです。


■マザリーズの特徴は?

マザリーズについてもう少し詳しくご紹介しましょう。
マザリーズには大きく5つの特徴があります。

◎ゆっくりとしたテンポ
◎声はワントーン高く
◎大きな抑揚をつけて
◎同じ言葉を繰り返して
◎赤ちゃんの反応を確認する間をあけながら

こうしてみると、誰しもが赤ちゃんに対して自然とやっている行為であることがわかりますね。
他にも「リズムに乗せるように」「単語を引き伸ばすように」といった変化を持たせながら話しかけるのもマザリーズと特徴といわれています。


■マザリーズは赤ちゃんにとってどんな効果がある?

赤ちゃんは、大人たちの話し声の中から単語を聞き取ったり、言葉の意味を理解したりして言語を習得していきます。
しかし、大人同士の会話はテンポが速く、難しい言葉を使うのでなかなか理解が追い付きません。
ゆっくりと抑揚をつけながら聞き取りやすく話しかけてくれるマザリーズは、赤ちゃんの言語習得にとても役立ちます。


■マザリーズは「IDS」と表されることも

motherから作られた言葉であるマザリーズですが、育児をしたり、子どもに話しかけたりするのは何も母親ばかりとは限りません。
特に声掛けは父親や兄弟といった周囲の人なら誰でもできることから、「Infant Directed Speech(対乳児音声)」、頭文字を取って「IDS」と表現するケースも増えてきました。
家族の在り方が多様化する今の時代に沿った考え方といえるでしょう。


赤ちゃんの言語習得や理解をうながすために欠かせないマザリーズは、人が本能として習得しているものでした。
赤ちゃんを見かけたら恥ずかしがらずに、積極的に話しかけてあげてくださいね。