セミ、鈴虫…季節を感じる虫の音は外国人にはどう聞こえる?

秋の夜長に虫の音が聞こえてくると、風情がありますよね。
暑さを増幅させるセミの鳴き声も、聞こえなくなると寂しいような・・・。
日本人と虫の音の関わりは深く、こおろぎや鈴虫は秋の季語にもなっています。
しかし、海外では虫の音を楽しむ文化がないところも多いとか。
今回は虫の音について、海外の人はどう思っているかを環境スペースが調べてみることにしました。

 

アメリカ人はセミの鳴き声を知らない?謎のノイズ

日本では、真夏にセミが鳴くのは当たり前ですよね。
映画やドラマでも、青空の下、一斉にセミが鳴き出すシーンで季節が分かります。
しかしセミの鳴き声を初めて聞いたアメリカ人は、謎の雑音だと思ったそうです。
日米共同で映画製作をすることになり、日本で撮影したデータをアメリカへ送った時のこと。
「映像にノイズが入っているぞ、撮り直してくれ」と言われてしまいました。
日本人スタッフが確認してみると、真夏のロケーションにぴったりのセミの鳴き声しか聞こえません。
アメリカでは地方によってはセミが生息しておらず、いたとしても日本のように一斉に鳴くことはほとんどないそうです。
セミの鳴き声=夏の風物詩」というのは、日本人だけの感覚なのでしょうか。


■ドイツ人は木が鳴いていると思ってる!?日本人もビックリ

ドイツにもセミの鳴き声を知らない人は多いそうです。
昔、ドイツから来た飼育員が言った言葉が逸話として残っています。
上野動物園がドイツからゾウを買い、飼育方法を指導するためにドイツ人飼育員が派遣されました。
2ヶ月ほど勤務した後、彼は帰国することに。
園長から「お礼がしたいんだが、何が欲しい?」と聞かれると、そのドイツ人飼育員は「あの、"鳴く木"が欲しいんだ」と言ったそうです。
日本人スタッフは何のことを言っているんだ?と、彼の指さす方向を見ると・・・。
そこにはセミがたくさん止まっている木がありました。
ドイツ人飼育員は、いつも仕事をしながら「日本には鳴く木があるんだ・・・」と思っていたのでしょう。


■日本の文学は難しい?なぜここで虫が出てくるのか

日本の有名な小説や詩には、季節を表すのに虫の音を使うことがあります。
例えば川端康成の「山の音」では、「八月の十日前だが、虫が鳴いている」という一文があります。
これをアメリカ人翻訳者が英語に訳しましたが、これを読んだアメリカ人は意味が分からなかったといいます。
日本人であれば「まだ鈴虫が鳴くような時期じゃないのに」という意味だと理解できますが、海外の人は「なぜ突然虫の話をするんだ」と思うのかもしれませんね。


環境スペースは、虫の音一つで文化の違いが分かって面白いと思いました。
日本人は、左脳で自然の音を聞くと言われています。
左脳は言語を司る機能があるため、虫の音にも良い詩が浮かぶのでしょう。