どういう仕組み?水オルガンを詳しく解説!

教会で賛美歌の伴奏を行うのがパイプオルガンです。
優しく温かみのある音色が特徴の楽器ですが、これの原型となったのは「水オルガン」と呼ばれるものでした。
どういったものなのか環境スペースが解説しましょう。


■水オルガンとは?

パイプオルガンの原型だといわれているのが、水オルガンです。
水に一定の水圧をかけ、空気を送り出すことで音を奏でます。
発明時期はなんと紀元前、古代ギリシャの時代だそうで、クテシビオスという名の数学者によって生み出されました。
彼は自身が開発した水オルガンに「ヒュドラウリス」と名付けていますが、元は楽器をつくるつもりではなかったようです。
偶発的に生まれたとはいえ、ヒュドラウリスは美しい音色を奏でたため、ローマ宮廷や劇場などで重宝されました。
やがて教会の礼拝堂に置かれるようになり、聖歌を演奏するまでに浸透します。
改良が加えられた水オルガンがパイプオルガンへと進化するのにそう時間はかからなかったようですよ。


■水オルガンの仕組み

水オルガンの仕組みは至って単純です。
水を張った浴槽にひっくり返した洗面器を押し付けた状態を思い浮かべるとわかりやすいでしょう。
洗面器を押し込むようにすると逃げ場のない空気が反発します。
この時、洗面器に穴を開けたら、反発していた逃げ場のない空気が一気に穴から出ていきます。
この穴の部分い笛を取り付ければ、空気が笛に流れ込み、音が鳴ります。
これが、水オルガンが鳴る仕組みです。
水オルガンでは、穴にパイプを通すことで安定した音を出せるようにしています。
とはいえ、水や空気の量によってどうしても音にムラが出てしまいます。
この不安定さが欠点だといわれていますが、味があっていいと好む声も少なくありません。


■演奏するには裏方の協力が必要

水オルガンから進化したパイプオルガンも空気の流れを利用して音を奏でる仕組みです。
当時のパイプオルガンには「ふいご」がついています。
このふいごを使って、空気を送り込みながら音を出すんですね。
ふいごの中の空気がなくなってしまうと演奏できません。
そのため、ふいごは最低でも2つはついています。
大きいものには3つ、4つとついているそうですよ。
そして、それらはすべて人の手によって動かされていました。
パイプオルガンの後ろ、誰からも見えない場所でせっせとふいごを引き上げ、空気を送り込む裏方がいたんです。
厳かで神聖な聖歌演奏は、裏方の活躍があってこそ成り立っていたんですね。


現在のパイプオルガンは、電動モーターで空気を送り込む仕組みになっています。
偶然の発明だった水オルガンの原理が今でも生きていると思うと感慨深いものがありますね。