救急車の音が変わった!?ドップラー効果の秘密

大人にとっては当たり前の現象でも、子どもにとっては不思議に思えることってたくさんありますよね。
環境スペースは先日、お客様のお子さんから「どうして救急車の音が変わったの?」と聞かれました。
ちょうどその時近くを救急車が通り過ぎたのですが、目の前を通過する時にサイレンの音が低くなったというのです。
何度も経験していることですが、いざ「どうして?」と聞かれると答えられない・・・。
でも、音が自分の近くで鳴っているか、遠くで鳴っているかに秘密がありそうですよね。
今回は、音の聞こえ方が変化する理由について環境スペースが調べてみました。


■音の高い・低いは何で決まっているの?

音は空気が揺れることで伝わります。
空気に波が発生し、この波が揺れる回数によって高い音、低い音が決まるのです。
音の発生によって1秒間に空気の波が揺れる数を「周波数」といい、その単位をHz(ヘルツ)として表します。
周波数が多いほど高い音に、周波数が少ないほど低い音になります。
救急車のサイレンは法律によって音が決まっており、960Hz・770Hzを一定の周期で繰り返しています。
つまりサイレンの音自体はいつ、どこを走っていても変化することはありません。


■周波数は変化する!?

サイレンの音の周波数が変わったわけではないのに、どうして音が低くなったように感じるのでしょうか。
音が発生させる波は、その場では数が増えたり減ったりしません。
救急車に乗っている人は、どこを走ってもずっと同じ音に聞こえているでしょう。
しかし、音を発生させている物体が移動することによって救急車と人間との間にある空気の波が揺れる回数は変化します。
救急車が近づいてくると空気が揺れる回数が増えていき、目の前を通過した時に回数が減ります。
そのため、救急車が近づいてくる時は高音に、通り過ぎた瞬間に低音に変化したように聞こえるのです。
これを「ドップラー効果」といいます。


■音の変化で速度が分かる!?

音がどの程度変化するかによって、音を発生させているものがどれくらいの速度で通過したのか計算することもできるそうです。
例えば、救急車が時速60kmで走行している場合、近づいてくるまでに周波数は5%多くなります。
通り過ぎる時には逆に周波数が5%少なくなります。
5%の周波数の変化はピアノの音階でいうと半音の違いにあたるため、「ソーシー・ソーシー」というサイレンの音が「ソ♯ード・ソ♯ード」と聞こえるというわけですね。
絶対音感を持っており、なおかつ周波数の計算もできる人がいれば、救急車のサイレンを聞いただけでどれくらいの速度で走行しているか分かるでしょう。


音が発生させる周波数は変わらないのに、人間の耳に聞こえるまでにはちょっとした変化が起こっているのですね。
音や耳の聞こえ方、音の感じ方にはまだまだ秘密があるのかもしれません。