音に色を感じる?共感覚の不思議

作曲家や芸術家など、人並み以上の感性を生かして活躍する人の中には「共感覚」という感覚を持ち合わせている場合があります。
古くはモーツァルトやレオナルドダヴィンチ、近年ではスティービーワンダーやヴァンヘイレンなども共感覚の持ち主であると話題になりました。
しかし、共感覚とはどういったものなのでしょうか?
今回は共感覚について、環境スペースが解説していきます。


■音に色を感じる?

共感覚(シナスタジア)」とは、一つの刺激に対して複数の感覚を覚える知覚現象です。
たとえば、チャイムが鳴った時、普通の人は単純に「音」として感じますが、共感覚者は「音」だけでなく「色」も感じるといいます。
他にも、数字や文字と色がリンクしている、数字と対になる香りを感じる、痛みに色がついているといったような現象もあり、そのバリエーションは150以上もあるそうです。
その中でも特に多いのが、音と色のリンクと数字や文字と色のリンクで、組み合わせやパターンは人によって違います。
また、その人に見えるパターンは生涯変わることがないそうです。


■本人が自覚していない場合もある

前述の通り共感覚は主観によるところが大きく、他者からは判別できません。
子どものころから自然と認識していた場合は、それが特別な感覚だという自覚を持ちにくいという側面もあります。
複数の感覚が連動する共感覚は、感受性が豊かで創造力や表現力に長けているといわれており、実際にアーティストとして活躍する人の中には共感覚者が多いです。
一方で、弊害もあるようです。
文字や数字と色が連動する共感覚の場合、色の配列で記憶する人が多く、そのせいで混乱してしまうのだそうです。

1…赤
2…青
3…黄
4…赤
5…白

といったパターンの場合、同じ赤の1と4がわからなくなります。
しかもパターンは生涯変わることがないため、この悩みは一生つきまとうことになります。


■生まれた時はみんな共感覚を持っていた?

限られた一部の人だけが持つと思われがちな共感覚ですが、実は生まれたての赤ちゃんはみんな共感覚を持っているという説もあります。
生まれたばかりのうちは感覚の処理機能が未発達のため、複数の感覚が混在するのでは、というのです。
脳が成長する過程でそれぞれの感覚が確立され、混在はなくなりますが、中には混在したまま大人になり、共感覚者となると推測されています。

 


「音に色がついている」「文字と音が連動している」といった共感覚は、持ち合わせていない人にしてみれば不思議な感性です。
しかし、音が人の体や脳に与える影響は大きく、解明されていない部分も多いため、今後も驚くような発見があるかもしれません。