どうして違いが出るの?話し声と歌声の関係性とは

普段は高めの穏やかな話し声なのに、歌を歌う時だけ低音のハスキーボイスが出るというような話し声と歌声に大きな違いがある人がいます。
わざとなのか、わざとだとしたらどちらが本来の声なのか、不思議に感じることもあるでしょう。
今回は、話し声と歌声の関係について環境スペースが解説します。


■話し声と歌声が違うのはどうして?

普段の話し声と歌声が全然違うように聞こえる人がいます。
声の高低といったものだけでなく、声質そのものが変化してしまったように聞こえる場合もあり、「どうやって声を出しているの?」「同じようにできるの?」と思った人もいるでしょう。
実はこの疑問、声に関わる分野では昔から議論されてきていました。
そこで多くの専門家がたどり着いたのが、「話す時と歌う時は、呼吸と発声に違う意識を持っているから」という結論です。
普段会話をする時、呼吸のタイミングを気遣ったり、一音一音を正確に発音しようと意識したりすることはあまりありません。
ほぼ無意識に呼吸をし、言葉を発しています。
ところが歌を歌う場面ではどうでしょう?
歌い出しに合わせて意識的に呼吸をし、聞き手がちゃんと聞き取れるよう、一言ずつ丁寧に発音します。
この意識的な行動が、普段の話し声とは違う声をつくり出しているのです。


■話し声と歌声の関係性とは

どうしてそのような結論に至ったのか、それは人がそれぞれ持っている声帯が関係しています。
声帯とは話し声や歌声など、人が発するすべての音をつくり出している場所です。
そのため、声帯の存在を無視して別人のような歌声を出すことは不可能と考えられています。
声帯には大きく分けて2つの役割があります。

・その人の「声区」を決めている
声区とは、地声から裏声に切り替わるポイントのことです。
どんなに音域が広い人でも必ず、地声から裏声に切り替わるポイントが存在し、それは人によって違います。
この声区がある限り、全くの別人になりすますような歌い方はできないと言われています。

・その人の「声質」を決めている
声質は簡単に言うと、声帯の響き方と息の仕方によって決まります。
人によって骨格や口の中のつくりは違うため、声帯の響き方は千差万別です。
さらにそこに息の仕方が加わることで、その人独自の声質になると言われています。


普段の話し声と歌声が違うように聞こえる場合があります。
しかし、声はその人の声帯によってつくり出されており、発声の際の意識の加減によるものという解釈が一般的なようです。